〜056 直坂遺跡(すぐさかいせき)〜

Text & Photo by Y.Ohara

 
直坂遺跡

※現地に設置してある案内板より転載

この遺跡は、神通川右岸の舟倉段丘南端に営まれた、旧石器時代・縄文時代の集落跡です。
昭和47(1972)年に富山県教育委員会が発掘調査を行い、旧石器時代・縄文時代の遺構や遺物が多数出土しました。
火山灰の赤土層からは、後期旧石器時代の石器集中地点が数箇所確認されました。これは石器製作場所あるいは住居跡と推定されます。また石焼調理の跡と考えられるこぶし大の礫(れき)を集積した礫群も検出されました。
出土した石器には、縦長の剥片(はくへん)を作る東日本系の石刃(せきじん)技法や、瀬戸内系の横長の剥片を作る技法で作られたもので、ナイフ形石器・彫刻刀形石器のほか、局部磨製(ませい)石斧・尖頭器(せんとうき)などがあります。
石刃技法で制作されたナイフ形石器の一群は、県内最古の約3万年前とする説と、姶良丹沢(あいらたんざわ)火山灰降下(AT、約2・5万年前)以後とする説があります。
縄文時代には、中期中葉(約4500年前)に六棟の竪穴住居跡が検出され、住居の平面形や炉の形から三期の変遷が推定されました。
科学分析によってこの遺跡から出土したことが判明した縄文中期の人面付き土器は、顔の表現が信州地域、土器本体の文様が北陸地域の特徴を持ち、両文化の融合を示しています。
旧石器時代・縄文時代の生活や地域間交流のようすが、豊富な遺構・遺物の内容からわかる遺跡であることから、昭和56年(1981)年国の史跡に指定されました。
(平成20年3月 富山県教育委員会・富山市教育委員会)


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